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Chapter.4・・・・犯しやすいミス〜自らのミスでボートを壊すケース
Part.1 アイドリング・暖機

Part.1 アイドリング/暖機

今回はエンジンのアイドリングと暖機運転について初歩的なことを掲載します。

■2サイクルエンジンはアイドリングが苦手
 アイドリングとは、エンジンがストップする事無く稼動する最低限の回転を保持することです。本来エンジンはある程度の回転数でスムーズに回転し続けることを最も得意としており、アイドリングの様に最低限の回転でダラダラと稼動を続けるのは苦手なのです。
特に2サイクルエンジンのように、潤滑オイルが混合されたガソリンを使用し、吸気・圧縮・爆発・排気工程をバルブ無しで行うエンジンの場合は尚更です。
アイドリング状態で白い未燃焼ガスを含んだ排気を出しながらダラダラと、いつまでもアイドリングを続けることはプラグを被らせたりしてトラブルを発生する引き金になります。

■ファーストアイドルエンジン
 エンジンの機種によっては、暖機完了前のエンジン回転を自動的にスムーズな回転数に確保するための【ファーストアイドル機能】を備えているものがあります。その様なエンジンの場合は始動直後は若干回転が上がっていますので、その回転数が通常の回転に下がって落ち着くまで、ギアインは可能な限り避けましょう。回転が上がったままギアインをするような事を続けると、知らず知らずにギアにダメージを加える可能性があります。
■キャブレター仕様のエンジンは水平に
 キャブレターとは、燃料と空気を適度なバランスに混合し、エンジンの燃焼室に効率よく送り込むための部品です。
 EFI方式ではなく、キャブレター方式のエンジンを搭載している場合、エンジンの始動やアイドリングは可能な限りエンジンを水平にして行ってください。なぜなら、キャブレター内のガソリン液面を水平にした状態で最も効率よくキャブレターの性能が発揮されるように設計されているからです。

左の画像はキャブレターの構造を模式的に書いたものです。キャブレターが水平に保たれていれば、燃焼室への燃料供給にあわせてスムーズにフロートが稼動し、楔形の弁の様なものが燃料タンクからの燃料供給を調整するようになっています。

(実際のキャブレターはこのような構造ではありません。あくまで解りやすいように簡略化して書いています。)
極端な例になりますが、エンジンが傾いているとキャブレターにも傾きが発生し、左の図のように十分な燃料が確保されていないにも関わらず燃料供給バルブが閉まってしまうというような不具合が発生する可能性があるのです。
■暖 機
 エンジンが冷えたまま、いきなり高回転で過大な負荷をエンジンにかける事が良くないことはご存知だと思います。ですから、エンジン始動後は走行(ギアイン)せず、エンジンの回転が落ち着くまでアイドリング状態を保持し、暖機運転を行います。しかし、上にも書きましたように、いつまでもダラダラと暖機運転を続けることは良くありません。エンジンの回転が落ち着いたら、低回転で負荷の少ない状態で走行を始め、徐々に高回転での走行に移行するよう気をつけましょう。
 もうひとつ忘れがちなのですが、朝、マリーナを出る際は十分な暖機をするにも関わらず、湖上で長時間釣りをしてエンジンがすっかり冷えてしまった後で再スタートする際の暖機は結構忘れやすいものです。朝でも昼でも、冷えたエンジンを暖機しなければならないのは同じことです。
暖機運転をしなかったからといって、すぐに大きなトラブルに直結するとは限りませんが、複数の要因が重なるトラブルの引き金になる可能性はあります。注意しましょう。

■冷却水は大丈夫?泥の吸い込みは?
 アイドリング時も、もちろん冷却水の確認が必要です。PSIゲージ(水圧計)や、検水口をチェックして冷却水循環が正常に行われているか確認しましょう。
 また、本来はエンジンを出来るだけ水平にして始動するのが基本ですが、水深の浅い砂浜や泥底のスロープでエンジンを掛ける場合、エンジン下部の給水口から砂や泥を吸い込むと、エンジンの冷却水循環径路に詰まり、トラブルが発生する可能性がありますので、その辺は臨機応変に対応してください。
■プライミングポンプは正しく使いましょう
 エンジンを始動する際、プライミングポンプを揉んで、燃料をキャブレターに送ります。いい加減にプライミングせず、硬い手ごたえがあるまでキッチリとプライミングしましょう。そうすることで始動直後の不安定なエンジン回転時に必要な燃料をしっかりと確保することが出来、スムーズな暖機が可能になります。
 また、夏場などエンジンを長時間止めていると、キャブレター内の燃料が気化したりして燃焼に十分な燃料が確保されない場合があります。始動したエンジンがすぐにエンストするという事を何度も繰り返しているうちにエンジンが不調になってしまう場合も有りますので、そういう場合は再度プライミングをしてみてください。

2003.1.31 菱田・辻本